パート主婦的シンプルライフ

どこにでもいるような普通のパート主婦。旦那は普通の会社員、子供は小学生。私の頭脳はぺらぺら。

【突然】吸い込まれる銀の玉【小話】

暑い暑い夏の日。昼を過ぎたというのに、蝉がワンワンと泣き喚いている。

片側2車線ずつの道路はしっかりとした道幅の歩道があって、その歩道には桜の木が植えてある。春になると満開の桜がとてもきれいな道。夏は蝉の居場所というわけだ。

歩行者に注意しながらこの暑い中自転車を走らせていた。目的地は決まっている。

 

暑い空気を体にまとわりつかせ、汗を額から流して目的の場所についた。駐輪場の適当な空いているスペースに自転車を置く。止められている自転車は年季の入った自転車やママチャリばかりだ。

 

止まった途端、汗が噴き出す。この感じはいつも慣れない。

 

買い物から帰ってきた母が毎回言う。

「自転車を漕いでいる時はそうでもないのに、家に帰ってきたら汗が滝のように流れるわ、お茶を飲んだら更に汗がボトボト出るわぁ」

 

本当にそうだな、と思う。しかしそう言われても感想は「そうやな」としか言えない。

クーラーすらついていないリビングは、マンションの7階で風がよく通るとはいえ、やはり暑いのだ。節約だとかなんとかで、やたら電気代のかかる古い型のクーラーしかないウチは、夕方からしかクーラーをつけない暗黙のルールがあった。

 

 

目的地の自動ドアの前に立つ。すんなりと自動ドアは空いた。

異様に冷たい空気が自分のカラダを包む。

 

「ああ、涼しい」

 

と小さく呟いた。しかしその後に不快な臭いと、先程のセミの鳴き声とは比べ物にならないほどのうるさい音が鳴っている。

 

むっちゃうるさいなぁ・・・と「毎回」思う。この場所にものの5分も居ればすぐにこの「騒音」には慣れるのだが、隣の人との会話はよっぽど顔を近づけないと無理だろう。

 

さらに目的の場所に向かう。母と父を探すためだ。

この場所を探すのが難儀だった。そこそこ大きいお店だし、みんながみんな右手を同じ位置に置いて、固定して、みんな同じ方向を向いている。

足元には、プラスチックの透明な箱に銀色の玉が数えきれないほど詰め込まれている。3段ぐらい積み重なっていたり、7箱ぐらいあったり、ある人の場所にはその箱がまったくなかったり。

みんな同じ方向を見ている人たちは、みんな大人だ。明らかに分かる。顔には皺があるし、シミがあるし、頭は禿げてる人もいるし、白髪だし、煙草も吸っている人もいた。

そんな大人ばかりの空間に、ためらいもなく入る事ができる。大人ばかりの空間に子供が入っても、ちょっと見られるぐらい。「ああ」という感じで、目線をすぐに戻す。

 

足元にあるプラスチックの箱にぶつからないように注意しながら、父と母を探す。

どこだろうか・・・新台がどうとか、って言ってたな・・・と考えながら探す。

少しの間、店内をうろついただろうか、耳が騒音に慣れていた。不愉快なニオイにも慣れてしまった。

 

やっと発見した。見慣れた背格好だ。後ろから近付いて、トントンと肩を叩く、そして耳元に近い距離で話しかける。

 

「お母さん!!!!まだ終わらんの?」

いつもより大きい声を出さなければいけない。

 

母は私を少し見てから、手元にあるプラスチックの箱から銀色の玉をすくい出して、受け皿のような場所に入れる。

銀色の玉はみるみる内に吸い込まれていく。

私はこれがお金になるという事は分かっていた。プラスチックの箱から出している、という事は一度当たったけど、それが続かずにいて、せっかく当たって出た玉が飲まれている、という事だ。当たりがでなければ、おしまいにするか、お金で銀色の玉を買って、みんなが凝視している、このうすっぺらいチカチカくるくる回るうるさい台で遊ぶか・・・という事だ。

 

「ちょっと待ってな」

 

と、母も少し大きい声で言う。みんなが注目している台の間には隙間がなく、背中と背中の間は人が一人通れるぐらいのスペースしかない。私はここにいても邪魔だろうと思って、自動販売機のある待合いスペースで待つ事にした。家に帰っても暇なだけだし、この騒音にも慣れたから、少しなら待てる。

母が100円をくれた。ジュースでも飲んで待っておけ、というのだ。私はありがとうとも何も言わずに自動販売機のある場所に向かった。

ちなみに横にいた父の遊びは絶好調なようだった。プラスチックの箱が何箱か積み重なっている。今日の夜は居酒屋かな?と思った。けど期待は禁物だ。これまでにいくらお金をつぎ込んでいるか分からない。

 

ジュースの自動販売機の前に立った。紙コップに直接飲料が注がれるタイプの自動販売機だ。私はメロンソーダが好きなのでこのタイプの自動販売機があると必ずメロンソーダを買う。

 

コトン、と紙コップが落ちてきて、氷が上からガラガラーっと落ちてきて、その後に液体がジョローーーっと紙コップに落ちていく。

 

もう何も落ちてこない事を確認してから、取り出し口の小さい扉を開ける。そーーーっと紙コップを取り出す。シュワシュワとした鮮やかな緑色の液体が入っていた。

 

待合スペースには先客がいた。ああ、同じやなあ、と思う。

 

ソファに座ってメロンソーダを飲む。異様に冷たい空気の店内に居るから忘れていたけど、喉が渇いていたようだ。シュワーーーーっとしたメロンソーダが喉を通っていく。炭酸の刺激が渇いた喉に爽快感を与えてくれる。

 

半分ぐらい飲んでから、辺りを見回す。先客がどんな子か知りたいからだ。女の子だという事は分かるけど、見た事がない子だ。同じ学校の子ではないのだろう。

 

別に話す事も話しかける事もないので、関心のない風を装った。この場所はキッズスペースでもないけど、親が遊びを終えるまで待っている子供はたまーにいる。親はこの店ではそこそこ常連かもしれない。かといってお得意様の子供だからって、店員が積極的にかまってきたりもしない。

 

しばらく待っても母は来ないので、もう一度様子を見に行った。

そしたら先程のチカチカくるくるうるさい台から、銀色の玉がじゃかじゃか出ていた。

当たったようだ。

 

「当たったん?」

と大きな声で母に聞いた。

 

「うん、確変や」

 

かくへん?かくへん・・・という事は、もしかしたらこのじゃらじゃらとした銀色の玉がまだまだ出るかもしれないという事だ。もう少し時間はかかるな、と思った。

 

「ほんなら帰るわ!今日は焼き鳥がいいな!」

と母に言った。母が私に小銭を渡してきた。これで何かおやつでも買っていいという事だ。普段母は、おこづかい以外で私にお金を渡すことはない。母なりの罪滅ぼしのつもりだろうか。

 

「終わったらすぐに帰ってきてな」

 

とだけ母に言って家に帰る事にした。

帰りにコンビニに寄って、お菓子を買う。家で待っている妹の分も考えて買う。

 

 また暑い暑いアスファルトの道を自転車を走らせて帰る。日曜日の昼間だけど今日は何故か車が少なかった。車道をかなり遠くまで見る事ができるけど、景色は暑さでユラユラゆらめいていて、蜃気楼だ。

 

そんなに距離はないけど、やっと家のマンションの駐輪場に着いた。いつのまにかセミの声は止んでいた。あまりの暑さに休憩しているのだろう。鍵をかけて駆け足でエレベーターホールに向かう。妹が待っている。

 

エレベーターを降りるとさらにダッシュで家の玄関に向かう。すると妹がタイミングを見計らったように玄関を開けた。びっくりした。

 

「ただいま、帰ってきたんわかったん?」

 

「うん、ベランダからおねえちゃんのじてんしゃ見てん。あとエレベーターから走ってくるあしおとでわかる」

 

「おやつ買ってきたから、食べよう。お母さん「当たったから」しばらく帰ってこーへんわ。」

 

「そっかあ」

 

妹の気持ちがちょっとわかるな、と思った。

私も家で一人で留守番している時、母が帰ってくる音をずっと待っている。自分の部屋の窓を開けていると、駐輪場の様子が音でわかる。母の乗っている、錆び付いた自転車のブレーキ音は独特で、すぐに帰ってきた!と分かるのだ。

 

今日は焼き鳥だろうか、暑いからラムネが美味しいだろうな、とかささみの梅しその串が食べたいな、とか考える。それに勝つと母は機嫌がいい。それがなぜか私の心の拠り所になっていた。

 

一緒に妹とゲームをしながら待とう、再びセミが鳴く時間になると帰ってくるだろうか・・・と思った。

 

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・・・

 

 

昔の話です。これってやっぱちょっとネグレクトだよなあ、ってちょっぴり思い返したんですよね。自分が小学4年生の時ぐらいがこんな感じでして、娘も今同じ年になったので、よくこの頃の事を思い出します。

そしてありえないよ、お母さんwwwと親になった私は思います。

運動会なんか、Pに興じていて来てくれませんでしたからねwwwありえない、あえりえないよ。

自分はそんな事しなければいいだけの話なんですよね。

 

まあ父も母もこんな感じでしたし、お金も湯水のように使っていたので、中3の時は塾に通えず、そこそこの高校にしか行けず・・・って感じでした。

小さいころにも色んな事があって、小学生の頃もこんな感じで・・・という感じで(感じ言い過ぎ)

 

母を別に恨んではいませんが、まあ、そんな感じですよ!上手く言えねえ。

 

過去は過去。これから、どうやって生きていくかが大事です。

 

 

ではではこの辺で、またお会いしましょう(*^▽^*)

 

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